皮膚を知り尽くしているから、できること。

ニュースレターVol.53 (2013年11月7日)

<IFSCC CONFERENCE 2013での口頭発表>

 

日増しに寒さが加わってまいりました。この時期の大きなイベントとして、国際的な化粧品技術者の学会であるIFSCC大会(International Federation of Societies of Cosmetic Chemists)が挙げられます。本年は、ブラジルのリオデジャネイロにて10月31日~11月1日に開催されました。本大会において、弊社のグループ会社であるコスモステクニカルセンターが「刺激物質による肌荒れは、慢性的な酸化ストレスを介し、シワ形成を誘導する : A hypothesis that skin roughness induced by a detergent triggers wrinkle formation through continuous oxidative stress」

という演題で口頭発表を致しました。内容について下記にご紹介させて頂きます。

 

今回、刺激物質の表皮への影響にフォーカスし、刺激物質が、皮膚の生細胞を刺激することで、表皮層で活性酸素産生や炎症因子が誘導されることを見出しました。そして誘導される活性酸素や炎症因子は、真皮線維芽細胞を刺激し (Cross-talk)、結果として、コラーゲンを分解する酵素であるMMP-1の産生を顕著に亢進することを確認しました。

これまで、紫外線や乾燥が刺激となり荒れ肌やシワ形成が助長されるストーリーが一般的でしたが、更に刺激物質でも、表皮中の生細胞を刺激することで同様の現象が起こり得ることを新たに見出したことになります。また、本現象に対するソリューションとして、表皮層の抗酸化能を高めることで、刺激物質による活性酸素および炎症因子の産生が抑えられ、Cross-talkを介したMMP-1増加を抑制できることを確認しました。つまり、紫外線や乾燥対策のみならず、外的な刺激物質に対抗するためには、常に“抗酸化”を意識する必要があるかもしれません。

 

また、この発表では、刺激物質による表皮細胞の応答を検証する目的で、表皮細胞を単層培養したものに加え、三次元培養皮膚モデル (SkinEthic RHE)を使用しています。単層培養細胞と三次元培養皮膚モデルを双方使うことには理由があります。単層培養細胞は、刺激物質による詳細な細胞応答のメカニズムを解析する用途で使用し、三次元培養皮膚モデルは、単層培養で確認した現象が、実際の立体的な皮膚においても起きているかを検証するために用いています。

 

新しい技術としては、これまでは単層培養細胞のみで評価していましたが、紫外線や刺激物質曝露後の活性酸素の増加を三次元培養皮膚モデルを用いてビジュアルデータとして取得できるようになりました。今後、三次元培養皮膚モデルを用いた抗酸化評価に応用していくことが可能と考えています。日々新しい評価系を検討しておりますので、お気軽にお問合わせ下さい。

 

※なお、IFSCC発表内容につきましては、11月29日 (金)、きゅりあん (品川区立総合区民会館)で開催されます「第73 回SCCJ 研究討論会」および「IFSCC2013 ・国内報告会」にてポスター形式による発表を予定しています。