第36回 日本美容皮膚科学会総会・学術大会にて発表いたします
演題:低湿度環境は皮膚老化の引き金となるのか? 再生皮膚モデルを用いた検証
低湿度環境曝露により誘導される皮膚の乾燥が種々の皮膚トラブルを誘導する因子として一般的に認識されている。
化粧品の効能効果として「乾燥による小じわを目立たなくさせる」という皮膚の乾燥に言及した効果が
厚生労働省により承認されてはいるが、
「乾燥が皮膚トラブルを誘導する」ことに関する根拠はいたってあいまいなものである。
これまで、演者らは再生表皮モデルの皮膚表面への乾燥空気の曝露は、モデルからのIL-1αの分泌亢進とモデル組織内カルボニルタンパクの上昇を誘導することを確認している。
この挙動は、ヒト乾燥性皮膚におけるIL-1αの分泌亢進に由来すると解釈されているIL-1レセプターアンタゴニストとIL-1αの比の上昇、角層カルボニルタンパクの上昇を再現していることから、乾燥空気曝露再生表皮モデルは、ヒトの乾燥モデルとして有用であると考えられる。
そこで、本研究では真皮構造を含む再生皮膚モデルの皮膚表面への乾燥空気曝露を行い、真皮マトリックスの再生に関与するタンパク群の発現挙動について評価した。
その結果、低湿度環境が真皮マトリックス再生を低下させる有用な知見を得たので報告する。