角層診断~ターンオーバー、バリア機能~
特徴
テープストリッピングにより採取した角層から、皮膚の状態を診断することができます。
さらに角層には皮膚機能に関与する様々なタンパクが含まれており、その活性やタンパク量を測定することで、皮膚の状態を詳細に診断し、サンプルの皮膚に対する作用などを評価することができます。
試験概要
角層剥離に関与するタンパク質の分解酵素の活性量の測定や、染色した角層の画像解析により皮膚の状態やスキンケアの効果を調べることができます。

ターンオーバー
ターンオーバーは皮膚が生まれ変わるためのサイクルです。
表皮細胞は表皮の最深部にある基底層から分化して最外層の角層にまで達します。
その期間は約28日といわれています。
ターンオーバーの速度は加齢により低下し、肌荒れや炎症状態では逆に亢進します。
そのターンオーバーの変化に伴って角層細胞の形態的な変化が起こり、異常がある場合バリア機能を低下させます。
試験内容
1.活性の測定
角層細胞の角層剥離に関与するタンパク質分解酵素の活性を評価することで、ターンオーバーの乱れによるバリア機能の低下の指標となります。
〇 KLK5
セリンプロテアーゼで角層の剥離に関わる酵素であるKLK5のタンパク質量を測定

※グラフはイメージです
2.染色法
角層細胞の染色画像の画像解析により、角化亢進度や角化不全度を評価します。
肌荒れの指標として用いることができます。
〇 BG染色

細胞面積
健常な皮膚の角層は規則的な六角形です。
しかし角化が不十分であると角層細胞の形状は変化します。
細胞面積を測定することでターンオーバーの乱れの指標となります。

多重剥離
荒れた肌では、角層が剥がれやすくなっています。
そのため多重剥離度を測定することで、肌荒れの指標となります。
〇 SH結合/SS結合染色
蛍光色素を用いて角層細胞中の遊離SH基を染色(赤色)し、還元処理によりSS結合を切断する。その後生じたSH結合を別の蛍光色素DACMを用いて染色(青色)し、それぞれの輝度を測定します。



遊離SH基とSS結合していたSH基の比(SH/SS)を定量することにより、角化不全の程度を確認することができます。SH基のみの染色も可能です。
ターンオーバーが不十分な場合、角層細胞にSH基が多く残存するため、SH基、SH/SSの比で角化不全度の指標として用いることができます。
倫理審査委員会による審査
ヒトを対象とした評価試験の場合、試験実施前に倫理審査委員会による審査が必要となります。
▶ 倫理審査委員会