皮膚を知り尽くしているから、できること。

027 米国化粧品規制現代化法「MoCRA」とは?

2026.6.22

米国の化粧品規制現代化法 MoCRA(Modernization of

Cosmetics Regulation Act of 2022)は、連邦食品・医薬品・

化粧品法(FD&C 法)を改正する法律です。

この法律は段階的に施行され、2026 年現在、主要な要件の多く

が施行されており、米国市場で化粧品を販売する企業にとって避

けて通れない非常に重要な規制となっています。

 


 

本コラムでは、MoCRA の概要と日本企業における注意点、そして最新のアップデート内容を解説します。

MoCRA の 6 つの主要なコンプライアンス要件

MoCRA の導入に伴い、企業には 6 つの主要義務が課されます。

表1 MoCRAの6つの主要義務

要件 主な内容 更新・報告期限
施設登録

全ての製造施設を「Cosmetics Direct Portal」を通じてFDA(米国食品医薬品局)に登録する。

米国外企業は米国代理人の指定が必須。
2年ごとに更新
製品リスト登録 米国で販売される全てのSKUStock Keeping Unit)について、全成分や責任者の情報をFDAへ登録する。

発売から120日以内

(毎年更新)
安全性の立証 市販化前に、製品が安全であるという適切な裏付け資料(試験データ、成分評価、専門家による評価など)をまとめ、保管する。

市販化前

FDAの査察に備え常時保管)
有害事象の報告

重篤な有害事象が発生した場合、FDAへ報告する。

また、製品ラベルに消費者向けの報告先窓口を記載する。

有害事象の記録は6年間保管する。
事象発生から15営業日以内
適正製造基準(GMP

FDAの製造基準(人員、施設、設備、品質管理など)を満たす。

当面はISO 22716への準拠が求められる。
最終規則のスケジュールは20265月時点で未定
ラベル(表示)の更新 責任者の米国連絡先情報、全成分リスト(INCI名、含有量順)、必須の安全警告などを表示する。 202412月に改定規則が施行済

なお、有用性の立証はMoCRAでは義務づけられていません。

しかし、FTC(米国連邦取引委員会)の規制として、効果効能を訴求する場合は有用性の立証が求められています。

日本企業における注意点

日本企業が米国輸出を行う場合、上記6要件に加えて米国独自のルールへの適応が必要です。

2 日本企業における注意点

注意点 主な内容
FEI番号の取得

施設登録を開始する前に、FDA施設識別番号(FEI番号)を取得する。

製造ラベルの再作成 FDA基準に準拠した英語のラベルを再作成する必要がある(日本語ラベルは不可)。
個別のSKU登録 日本で既に承認・販売されている製品であっても、FDAに対して個別に製品リスト登録を行う必要がある。
既存の安全性・有用性データの検証 日本の安全性・有用性データをそのまま流用できないケースがあるため、FDAFTCの基準に照らして再評価・見直しを行う必要がある。

最新のアップデート内容

また、JETRO(日本貿易振興機構)が発行した「米国・化粧品現代化規制法(MoCRA)の内容と要対応事項(2023年11月版)」の内容から、現時点※までにアップデートされた箇所があるため要確認です。

 ※2026年5月時点

表3 最新のアップデート内容

項目 JETRO資料での記載(2023年11月) 最新のアップデート内容(2026年5月)
施設登録および製品リストの提出期限

既存施設・製品は、20231229日までに登録・リスト提出を行う義務がある。

実際の登録期限は2024年7月1日まで延長された(現在は期限超過のため、未登録企業は速やかな対応が必要)。
電子登録ポータルの稼働状況 施設登録・製品リスト提出用の電子ポータルは「草案」段階。
開始日等の詳細発表を待っている状態。

2023年12月18日に「Cosmetics Direct(現:FDADirect)」が正式に稼働開始。

現在、このシステムを通じた提出が強く推奨されている。

適正製造基準(GMP)の規則案発表 MoCRA制定から2年以内(2024年末頃)に規則案を発表予定。

規則案の発表は2025年10月まで延期された。

完全な施行時期は未定。

ただし原則として準拠は求められており、国際規格であるISO 22716が参照されている。

香料アレルゲンの開示(ラベル表示)ルー

MoCRA制定から18カ月以内(2024年6月頃)に規則案を発表予定。

スケジュールが遅れており、規則案(NPRM)の発表は2026年5月頃と予想されている。

最終的な遵守(コンプライアンス)期限は、早くとも2026年後半または2027年初頭になる見込み。

タルク含有化粧品のアスベスト試験方法の確立

2023年12月20日までに、アスベストを検出・特定するための標準試験方法の規則案が発表される予定。

当初の規則案は2025年11月に取り下げられた。

今後新たな規則が発表される予定だが、現時点での詳細なタイムラインは未定。

PFAS(有機フッ素化合物)に関する報告書の公表 重点分野として特定されており、FDAの動向を注視する必要がある。

 2025年12月29日に「化粧品におけるPFASの使用と関連するリスクに関する報告書」を正式公表。

安全性やリスクに関する評価結果がまとめられており、FDAとして引き続き注視していく方針が示されている。

ニコダームリサーチが支援できること

当社は世界各地に拠点を置く試験機関 ALS Beauty & Personal Care社と提携し、米国市場での化粧品販売に向けた支援サービスを行っています。

表4 米国市場進出のためのサービス一例

サービス一例 該当するMoCRAの要件
安全性試験の実施 安全性の立証
安全性データシートの作成サポート 安全性の立証
有用性試験の実施  

米国市場進出を検討している企業様は、ぜひお気軽にお問合せください。