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021 育毛作用最大化のための“ヘアサイクル観点”新育毛評価

2026.2.24

「育毛成分を入れているのに、思うような育毛データが取れない」—そんな課題には、ヘアサイクル (毛周期) が関係しているかもしれません。

当社では、育毛評価として、従来の細胞賦活評価に加え、毛乳頭細胞の形態変化を捉える「毛乳頭細胞集塊を用いた退行期誘導阻害評価」をラインナップに加えています。

本コラムでは、その評価法の考え方や、細胞賦活評価との着眼点の違いについて解説します。

育毛試験のイメージ画像。人の毛髪、頭皮の画像。

毛周期(ヘアサイクル)と薄毛の関係

毛髪を作り出す器官である毛包は、毛周期に則って、毛が伸びたり抜けたりするサイクルを繰り返しています。

毛髪の各組織と名称の説明画像

「成長期」では、毛髪を成長させる起点となる毛乳頭細胞が、毛球部で細胞集塊を形成し、毛の素となる毛母細胞へ成長促進成分を供給することで、毛が伸びて太くなります。

ヘアサイクル(毛周期)の成長期

そして、次にある「退行期」では、毛球部の退化とともに毛乳頭細胞の集塊が崩れ、毛球の外に移動します。これにより毛母細胞への成長促進成分の受け渡しがされなくなり、毛の成長がストップします。

ヘアサイクル(毛周期)の退行期

そして、「休止期」は、次の毛を生やすための準備期間です。自然と毛が抜け落ちた後は、次の毛を生やすための細胞が再び形成されていきます。この期間が約2~3ヵ月あるとされています。

ヘアサイクル(毛周期)の休止期

一般的に、「成長期の短縮化」が生じることで、毛の密度が低くなり、薄毛が進行すると考えられています。

育毛効果のコンセプト設計

従来は、毛髪の成長促進因子を増やすことで育毛効果を発揮するコンセプトが主流でした。

しかし、成長期が進むにつれて細胞からは退行期を誘導する因子も同時に出てきてしまうため、細胞にいくら毛髪の成長促進因子を与えても、同時に退行促進も進んでしまうのです。

そのような背景から、 “成長期を長く維持すること” つまりは、退行誘導因子を抑えることも育毛促進のコンセプトとして考えられます。

「成長期を維持するかどうか」を確認する評価系

当社では、「退行期への誘導を阻害し、成長期を長く維持するかどうか」を確認する評価系を確立しています。それが、毛乳頭細胞集塊を用いた退行期誘導阻害評価です。

毛乳頭細胞では、成長期に丸い集塊を形成するのに対し、退行期には毛乳頭の根本緩み、集塊が崩れることで外部に移動する生物学的な現象がみられます。

成長期と退行期の毛乳頭細胞の形状変化の模式図
成長期と退行期の毛乳頭細胞の形状変化

※参考:Experimental Dermatology, 19, 305–312 (2009)

 

本評価系では、その現象を再現し、まず毛乳頭細胞のスフェロイド(細胞集塊)を作製します。

そこに試験サンプルを適用し、そのスフェロイドの伸展度合い(退行期に毛乳頭細胞集塊が崩れる現象の再現)を確認します。

 

下の画像は、退行誘導因子で知られるFGF-5を添加した際のスフェロイド伸展の様子です。何も適用していないスフェロイドと比べて大きく伸展していることが分かります。

 

育毛をターゲットとする成分の場合、伸展率が小さいほど、退行期における細胞形態への移行を抑制(=成長期様を維持)する機能があると評価することができます。

退行誘導因子で知られるFGF-5を添加した際の毛乳頭細胞スフェロイド伸展の画像。何も適用していないスフェロイドと比べて大きく伸展していることが分かります。

※行方 昌人、清水 健司「毛乳頭FGF signalingから生じる毛包退行誘導における育毛有効成分の効果」

日本化学会第104春季年会、2024年3月

細胞賦活評価との観点の違い

従来、育毛作用を確認する方法としてある、毛乳頭細胞の賦活作用を確認する評価系では、成長期にある細胞がどれだけ活性化(賦活化)しているかを確認しています。

対して、退行期誘導阻害評価では、退行期への誘導がどれだけ抑制されるか(=成長期様を維持するか)を確認します。

育毛作用の “強度” の観点を細胞賦活評価で確認し、育毛成分が作用するための “土台” をどれだけ多く確保できるかという観点を退行期誘導阻害評価で確認しています。

どちらも、育毛作用を評価する上では必要な観点であり、コンセプトに応じて適切な手法を選ぶことが望ましいです。

育毛作用の“強度”の観点を細胞賦活評価で確認し、育毛成分が作用するための“土台”をどれだけ多く確保できるかという観点を退行期誘導阻害評価で確認しています。
各評価法の観点の違い

育毛原料・製品の評価も、当社にお任せください。

ニコダームリサーチでは、育毛評価に関しても、様々な評価法から適切な手法をご提案し実施いたします。

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