皮膚を知り尽くしているから、できること。

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食品素材の化粧品としての魅力を引き出すために 

 

2025.4.14

化粧品業界に新規参入される企業様向けに、業界・業態別におすすめの評価試験情報を3本立てのコラムで発信しています。

第3弾は、食品素材メーカー様におすすめの、“肌に対する”評価試験情報をお届けできればと思います。

 

食品素材が化粧品で活きる。クリーンビューティ市場

食品素材の化粧品原料化を検討されていますか?

化粧品業界では、エビデンス重視の消費傾向が主流となってきており、さらにグリーン・ナチュラルなコンセプト製品は、ポジティブな印象を受けられやすいです。

下のグラフは、Euromonitor社が、「2021年から次の5年間で消費者の購買行動において影響力が強くなると考えるトレンド」を調査したものです。

約8割の消費者が、「Natural・Clean」というテーマの影響力が強くなると考えています。

 

 

食品素材の化粧品原料化は、Clean Beautyトレンドを追い風に、近年よりポジティブな市場であると考えられます!

食品素材を化粧品原料にするために必要な評価試験

―1.化粧品の原料として使用できるかどうか?

化粧品は、「届出制」が採用されています。

そのため、新規原料についても、化粧品基準※のネガティブリスト(配合が禁止されている成分)、ポジティブリスト(配合量が制限されている成分)に留意して、メーカー様の責任において配合することができます。

しかし、その分、化粧品の安全性はメーカーが自社の責任で、確認・担保しなければなりません。

“(配合の)自由” と “(安全性の)責任” はセットということですね。

なので、原料メーカー様は、メーカー様から原料の安全性や有用性データについて、情報提供を求められるため、準備をしておく必要があります。

 

―2.安全性の確認

食用素材であっても、化粧品原料にするには、皮膚に刺激とならない事を確認することが、必要とされます。原料の安全性の確認には、主にin vitro評価(動物実験代替法)が用いられます。

そして、製剤化されると、消費者が求める“実使用に近い状況”での安全性データとして、in vivo 評価(ヒトに対する評価)各社の判断で実施されます。

試験種類

手法 目的 留意点 当社での受託
安全性評価

in vitro 評価

(動物実験代替法)

原料の安全性確認

実際の配合濃度を想定して試験実施の濃度を設定する

※お問合せください

in vivo 評価

(ヒトに対する評価)

製剤の安全性確認

製剤に配合されるすべての原料の安全性データが揃っている必要がある

○(当社HP)

 

―3.有用性の確認

素材のポテンシャル評価(網羅評価):DNAマイクロアレイ

サンプルに、どのような肌への有用性があるかどうか分からない場合や、競合品との差別化に苦労されている場合は、素材のポテンシャル評価(DNAマイクロアレイ)が活用できます。

表皮細胞や三次元培養表皮モデルに試験サンプルを適用して実験をします。皮膚機能に特化した約180種の遺伝子の発現変動から、サンプルが持つ有用性ポテンシャルを網羅的に解析できます。

この手法により、まったく予想していなかった有用性ポテンシャルが見つかったり、競合品を比較して優位性のある機能性の発見をしたり、時間の掛かる差別化開発を効率的に進めることができます。(詳しくはこちら)

 

in vitro 有用性評価

原料の有用性にあたりがついている場合、表皮細胞や三次元培養皮膚モデルを用いて、その有用性を確認していきます。

 

美白 シワ 保湿
・チロシナーゼ(発現、活性)
・メラノソーム輸送
・メラニン定量、分布 
・コラーゲン(遺伝子、タンパク質)
・エラスチン(遺伝子、タンパク質)
・ヒアルロン酸
 などの定量
・天然保湿因子
セラミド
・バリアタンパク質
 などの定量 
皮膚透過性 刺激緩和、かゆみ 抗糖化
・三次元培養皮膚モデル
・摘出皮膚
・人工膜
 を使った透過性評価
・受容体TRPV1、カルシウムイオン
・ヒスタミン
・炎症性因子
 などの定量
・糖化産物AGEs
・組織形態
 の評価
ニキビ 角層診断
・炎症性因子
・アクネ菌
 などの定量
・角層状態の分析(ターンオーバー、あれ肌)
・角層間脂質(セラミド、コレステロール等)
・天然保湿因子
・バリア(コニファーイドエンベロープ等)

※上記は一例です。目的に応じて評価案をご提案いたします。

 

 

有用性試験の留意点―“結果保証” は、キケン!

評価試験を外注される場合で、「結果保証」を謳っている受託試験機関を見かけたら注意が必要です。

評価試験は、そもそも「効果があるかどうか」「効果を最大限引き出す条件」などを “確かめる” ために行うものです。

試験をやる前から結果は分からないですし、試験機関が保証できるものでもありません。

エビデンスとして納品されたデータの試験条件が、きちんとしたものでなければ、せっかくコストを掛けて行った試験結果の信ぴょう性も疑わしいものになってしまいます。

 

有用性試験の留意点―データの信頼度と費用は段階的に上がっていく

有用性評価には、大きく下の3つの手法があります。

  in vitro 評価 ex vivo 評価 in vivo 評価
データの信頼性  小 
コスト

データの信頼度とコストは、概ね比例します。

そして、in vivo 試験(ヒトに対する評価)は、気温や湿度の影響を大きく受ける点も考慮し、試験実施のタイミングを調整する必要があります。

食品素材の肌に対するエビデンスデータの取得は、ニコダームリサーチにお任せください

持続可能な開発やアップサイクルが意識され始め、当社にも食品素材の化粧品原料化で、評価試験のご依頼を多くいただいております。

当社では、開発段階や、目的に応じて適切な評価手法をご提案し、試験条件やプランも個々の案件によって設計いたします。もちろん、安全性試験や倫理審査委員会の実施も承っています。

ご検討中の製品でのエビデンスデータ取得・評価がありましたら、ぜひ当社にお任せください。