皮膚を知り尽くしているから、できること。

011「保湿力」正しく測れていますか? 

2025.6.30

今回のテーマは、スキンケアの基本である「保湿力」です。

肌の乾燥は様々な肌トラブルの原因となり得るため、化粧品や原料開発において保湿力評価試験は非常に重要な項目です。本コラムでは、製品や素材の「保湿力」を多角的に評価する視点についてご紹介します。

「保湿力」は1つじゃない

「保湿力」は、コンセプトや保湿の作用点によって様々考えられます。

時間的な考え方で、すぐ保湿される「即時性」が売りのものや、保湿性が長く続く「持続性」が売りのもの―。

作用の仕方として、肌を膜で覆い水分蒸散を抑えることで保湿するものや、角層を保湿成分で満たすもの―。

 

そして、「保湿力」を評価する目線も1つではありません。

「どのような効果が感じられるか」といった実効感を数値化するもの―。

「どのように肌に作用しているのか」といったメカニズムを探るもの―。

 

そしてもちろん、形状も様々ありますよね。

スキンケア用途であれば、液体・クリームタイプやシートマスクといった形状。メイクアップ品であれば、粉体が多いでしょうか。

 

それらひとつひとつの条件に合う、適切な評価手法を用いることで、きちんと信頼性のあるエビデンスデータを取得することができます。

時間軸で「保湿力」を測る

即時の保湿力を測りたい場合、被験者にサンプルを塗布した後、直後から数時間以内の角層水分量を機器測定する手法が一般的です。(即時保湿試験

 

逆に、長期にわたって使用することで、持続的に保湿力が高まることを確認したい場合、サンプルを数週間から数か月、長期連用した時の角層水分量や水分蒸散量の変化を観察します。(肌状態測定


実効感かメカニズムか

前述した評価手法は、主に肌にどのような作用が現れるかの効果を数値化する評価です。

 

対して、その効果が表面化するためには、肌内部で何らかの因子の作用があったためです。

メカニズムを探ることが目的であれば、in vitro 評価によりターゲットとなる保湿因子(セラミド、フィラグリン等)の変化を確認したり、DNAマイクロアレイや、肌内部の変化をより詳細に捉えることが可能な摘出皮膚を用いるパスウエイ解析マイクロダイアリシス法を活用した評価も実施したりします。

保湿力を「面」で見る

一般的な保湿力を見る試験は、測定機器が肌にあたる「点」を測定しています。

そうではなく、保湿性を「面」で捉えたいケースもありますよね。その場合は、ビジュアル化がおすすめです。

専用の測定機器を用いて、皮膚の水分量を「面」で数値化・ビジュアル化し、データを直感的に表現することもできます。

即時保湿試験-面


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